『発注側』だからこそウェブ解析に関する知識を身に付けるべき~【上級ウェブ解析士紹介ー関東編ー#2】

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今回インタビューしたのは、2015年に上級ウェブ解析士を取得した高橋浩道さんです。半導体メーカーで一般顧客向けWebサイトの企画、分析、管理を行っていて、現在55歳。上級ウェブ解析士以外にはiパス(ITパスポート)を取得しているが、仕事上の資格を除くと自動車運転免許しか資格はもっていない、いわゆる普通のおじさんだという高橋さんに「なぜ、50歳を超えて資格を取得したのか?」といったことを質問してみました。

生涯現役でいたい。そのために目に見える資格を取ろうと思った

なぜ50歳を超えてウェブ解析士、上級ウェブ解析士を取得しようと思ったのか?

会社生活も残りわずかになったことが大きいですね。
「えっ! あと5年くらいしかないじゃん」って感じで……(笑)

以前から生涯現役で働きたいとの思いが強くて、10年以上やってきたWebという仕事で目に見えるものがあったほうが、今後何かにつけて自信になると思ったんです

そんなときに同僚から「こんな資格あるけど取ってみる?」って話があって、じゃあ
やってみるかと。

仕事の内容は?

半導体メーカーで一般顧客向けWebサイトの企画、分析、管理を行っています。
具体的にはWebコンテンツ企画・提案、社内製品事業部サイド(海外含む)との調整、制作会社担当者との調整が主な内容です。もちろんアクセス分析も積極的に行っています。

上級ウェブ解析士を取得して仕事に対する変化は?

仕事のやり方自体はほとんど変わっていません。
Webページの提案を行う際は、アクセス分析を行って自身の提案の後押しを目に見える形で準備するという感じで以前からやっていました。

ただ今まで以上に自信をもって自分の提案を主張できるようになったんじゃないかなとは思います。

具体的なエピソードはありますか?

先日、「大カテゴリにあたる【製品紹介ページ】に、小カテゴリにあたる【ソフトウェアの紹介】を記載し、ダウンロードへのリンクを追加したい」という依頼が開発チームからありました。

大カテゴリの【製品紹介ページ】は
「1行で理解できるキャッチコピー」+「200字程度の機能・性能説明文」+「ラインアップ」+「ブロック図」
で構成されていて、
『お客様に理解してもらおう、そしてさらに興味を持っていただいたお客様にラインアップの中から具体的な品番を絞り込んでいただこう』というのが大目的です。

ソフトウェアというのは、お客様にとってはさらにその先の工程で使用するんです。

Webページのデザイン変更依頼してきたチームは、自分が開発したのが「ソフトウェア」なので、なんとか多くの場所に入口をおきたい気持ちがあったと思うんです。製品開発の経験もある自分にもその気持ちは痛いほどわかったのですが、ページが本来の目的(=お客様に製品を理解し品番を絞り込んでいただく)を果たせなくなる可能性がありました

こういうときにこそ、Webサイトのユーザ=お客様(のアクセス)が答えを出してくれると思い、代表的な製品をピックアップして、そのページに到達したお客様の次のアクションを調べたわけです。
すると製品説明文がシンプルに書かれた製品のページほど「品番への絞り込み」が次の行動に繋がっていることがわかったんです。

依頼元(ソフトウェアの開発チーム)へ「この結果」+「ソフトウェア個別のページを試作」提案し、合意いただけました。

制作会社や広告代理店でなく、いわゆる「クライアント・ウェブサイト発注者側」で資格を取得してよかったことありますか?

「クライアント・ウェブサイト発注者側」だからこそ、この資格は必要じゃないでしょうか。

このごろ感じるのはクライアント・発注者側は自身が管理しているサイトにも関わらずアクセス状況を自分自身で追わず(自身でデータを取らず)、人任せ(Web制作会社、Webコンサル会社等に丸投げ)にしているところが多いと思います。

でも、それではアクセス分析で得られたデータの持つ本当の意味、行間を読み取ることは難しいんじゃないでしょうか。

と、言いますと?

たとえば、技術者育成を目的としたセミナーページのアクセス解析から「10月以降の申し込み数が減っている」という結果を得たとします。

この数字の背景を知らないと改善策が的外れになることもあります。

技術者育成のセミナーは、多くの場合、新入社員の教育の一環として申し込まれるため、4月から8月頃までの申し込み数が多く、9月以降は申し込み数が減少傾向にあります

この背景を知らないと、代理店などから「(10月以降に)メルマガや広告を打って集客しませんか?」といったような(あまり良くない)提案も受けてしまうこともあります。

このようにビジネスに関わる部分の知識は、制作会社やWebコンサル会社ではわかり得ません。ビジネスの知識の有無により、得られる気づきは大きく違うと思います。

またWebページの企画、メンテナンスを行う人こそ、そのページの目的を知り、かつサイト構造やページ構成を知り尽くす立場にいるわけですから、アクセス分析を効率よくできると思っています。

資格取得時の笑い話

初級ウェブ解析士を取得時、大変だったことなどありますか?

「用語をおぼえることが結構きつかったかなぁ」と記憶しています。解析ツールのタイプ(サーバログ取得型/ビーコン型/パケットキャプチャリング型)は準備期間中も何度も間違いましたね。

でもそこでめげずに、試験の1か月前からテキストを5回以上繰返し読み、演習問題を解き、準備をして臨み、無事合格しました。

ただIT的な部分はあまり好きなジャンルではなく、受験勉強みたいな形になったせいか、結局自分の身にならなかったです。(笑)

ちなみに合格者発表後の懇親会で「1週間前に試験の存在を知ってテキストは買ってさらっと読んで当日2時間の講習を受けて合格しました」という人がいて、かなり凹みました。(笑)若い人はすごいなと思います。

上級ウェブ解析士取得時、印象的なことはありますか?

講師の先生が27歳(私の半分の年齢!)だったことが衝撃的でした。でも講師の先生のほうがもっと驚かれたかもしれませんが。(笑)

講座の印象は、アクセスアップ、売上げアップの計画立案など実践的な内容が多く、こちらは好きなジャンルだったこともあり、あまり苦しまなかったですね。ただ1日目と2日目の間のレポートと試験勉強がけっこう負荷が重かった記憶があります。本職もそこそこ忙しかったので時間を作るのが大変でした。

ウェブ解析士の資格の印象は?

取得してよかったです。繰り返しになりますが自信がついたこと、そして今まで部分的な知識だった部分が系統立てて学ぶことができたことも大きいです。

最後に、この資格を受験したいと思っている方に一言お願いします。

資格取得はスタートラインだということです。
実例で分析をこなして、レポートして、関係者と共有しディカッションし、さらなる改善につなげていく。こういう経験の積み重ねこそが大切になってくると思います。

そしてそれ以上に重要なことはクライアントを徹底的に知ることです。そしてクライアントの立場に立ちつつ、そのうえでユーザ目線で提案できるのかが大事だと思います

取材:はしもとみき(上級ウェブ解析士、Webマーケター)

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