ECサイトでファンを作る、「サンクスメール」で顧客と心通うコミュニケーション! メール例文も公開/#4

『農業もエンターテイメントだ!』 ~農業のウェブ活用事例シリーズ第4弾

前回までのあらすじ:

「特別栽培米」と呼ばれる減農薬・減化学肥料で栽培しているお米を武器に、「出産祝い」としてお米を販売することに。赤ちゃんと同じグラム数の「出生体重米」をギフト商品化。共感を得るWebコンテンツや、Webへの流入を増やすためにプレスリリースを活用することで徐々に「出生体重米」が売れ始める。

しかし、「出産祝い」という商品柄、リピート客を増やせないでいた。そこで、ECサイトのファン増やすために、のし紙の心配りやサプライズプレゼントでお客様に感動をしてもらう仕組みを作っていった。
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こんにちは! 新潟のウェブ解析士マスターの安達です。

私には3人の息子がおり、三男は現在1歳。まだ夜中に授乳することもあり、寒さ厳し今日この頃、夜中の授乳の際に布団を出るのが辛くてたまりません。

写真は2016年12月17日(土)のShift10:Webデザインゆく年くる年(CSS Nite LP50)にて、新設されたマーケティングセッションにウェブ解析士協会のコラムでもおなじみの益子貴寛さんと一緒に登壇させていただいた写真です。全国の方との交流は大変刺激的でした!
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写真:飯田昌之

さて、前回の記事ではECサイトでファンを作る方法として、3つ施策のうち2つ目を紹介しました。今回は、残りの1つ「顧客を感動させるために仕掛けるコミュニケーション」を紹介します。

顧客を感動させるためにしかけるコミュニケーション

前回までに紹介した2つの施策でもある、「細かな心配り」や「サプライズ」は、お客様に喜んでいただけるサービスとなり、リピーター獲得につながりました。
でも実は、それらの施策のもっと前「お客様と初めて接触するときにある工夫」をしていたのです。

それが、サンクスメールです。

サンクスメールで顧客と心通うコミュニケーションをとる

商品が届いた時には、当然ながら商品やそれに付随する「モノ」を通して接触する機会となるわけです。しかし、それ以前にお客様サンクスメールで事前に接触しますよね。そのサンクスメールでいかに心通うコミュニケーションが取れるかが大切だと考えていました。

工夫したのは以下の3つのポイントです。

  1. 注文者の環境を考察し共感する
  2. 贈り先の喜ぶ姿を想像させる
  3. 応援してください! という姿勢を見せる

1.注文者の環境を考察し共感する

ママには「子育て頑張ってるね」といった文面を。注文者で異なる定型文を作る

注文の多くは「出産内祝い」でした。そして、実際にショップページを閲覧し、注文していたのは、パパよりもママのほうが多い状況でした。

私は注文者のママと同じように、出産を経験した身。内祝いの注文をする頃というのは、だいたい産後1~3か月後であることが多く、産後1~3か月頃を思い出すと、頻繁な授乳とおむつ替え、それに家事も重なって本当に疲れがピークで辛かったことを鮮明に覚えています。

子育ては当たり前にママの仕事だと思われることが多く、疲れがピークだった時期に「頑張ってるね」とひと声、労をねぎらう言葉をもらったことが、どれだけ嬉しかったか。

そんな自身の経験を元に、注文確定後にまず送信するサンクスメールにママを気遣い、共感する文言を入れることにしました。もちろんパパからの注文もありますから、注文者によって内容を変えた定型文を作りました。

このように、注文者名がママかパパかで定型文を振り分けしていました。ママには、育児の大変さを共感し、パパには大切なお子さんの世界にひとつだけの記念品……というワクワク感を共有できるような文章で送りました。

サンクスメールは通り一辺倒な定型文ではなく、注文者に合わせて心の距離が縮まり、安心してお取引いただけるような工夫を施すことで、商品が届いた時により感動をしてもらえるような下地作りになると思っています。

かしこまりすぎない言葉選び

店舗からのメールは、お客様とのコミュニケーションです。商品柄、ビジネス文のように硬くかしこまった文章ではなかなか心の距離が縮まりにくいのではないかと考えていました。「~~ですよね」「ぜひ~~してくださいね」などかしこまりすぎないけれども、お客様を思いやる気持ちが伝わるような内容を心がけていました。

実はこのようなサンクスメールにしたことで、ママからメールでの相談を頂くこともあったのです。育児のお悩みやご家庭の悩みなど、出産を経験し・本家の嫁業をする私自身でお答えできることは、できるだけ返信していました。対応は確かに大変ではありましたが、これが他店との差別化になるだろうと思い、親身に対応しました。

そして、育児相談やママの悩み共有などを通じコミュニケーションの回数が多くなるほど、お客様とお店との心の距離が縮まっていきました。心の距離が縮まったお客様は、商品お届け時のサプライズに大変喜んでくださり、進んでレビューも書いてくれました。

このようなやり取りをしていたお客様とは、ご購入いただいてから5年以上経過した現在でも年賀状のやり取りをしたり、SNSを通じて交流したりしています。いつも私自身の活動を応援してくださる心強い応援者となっています。

2.贈り先の喜ぶ姿を想像させる・気遣いを入れる

ママの体を気遣い、贈り先がもらって喜ぶ姿を想像させる文章

内祝いニーズの注文で、発送メールを送る際に必ず入れていたのが、ママの体を気遣う文章と、贈り先がもらって喜ぶ姿を想像させるような文章です。

産後間もない頃に重いものを持つと、腰を痛めたり子宮に負担がかかります。なので、重い商品は無理して持たないように発送メールに記載していました。

また、商品の特徴は「生まれた赤ちゃんと同じ重さを抱っこして、誕生の喜びを分かち合えること」です。贈り先に「抱っこしてみてね」と伝えていただき、実際に商品を受け取った方が抱っこしてくれることで、はじめて商品本来の価値を実感していただけるものだと思っていました。そのことを注文者に念押しし、贈り先が喜んでくれている姿を想像することで、商品が届くまでのワクワク感を演出しました。

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3.「応援してください!」という姿勢を見せる

レビューを書いて! ではなく、応援してください!でたくさんのレビューを獲得

上記のようなメールでのコミュニケーション後、お客様は実際に商品を手にするわけですが、サプライズなどの感動演出をしても、すべてのお客様がわざわざレビューを書いてくださるわけではありません。

とはいえ、「レビューを書いてください!」という露骨なメールも、忙しいママたちにとって嫌がられるのではないかと考えました。

そこで、商品到着から数日後にフォローアップメールとして「うちのショップを応援してください」というような内容でメールを送りました。

上記のように、レビューを書いてくれたら●●プレゼント! というキャンペーン的にレビューを促すのではなく、フォローアップメールで「応援してください!」と素直にお願いしました。

レビューを書いてくれた人に、何かをプレゼントする場合は当然にしてコストがかかります。注文時にレビューを促してしまうと、商品が届いて感動してもらうまでの一連の流れを経験せずに、早々にレビューを書いてしまう人もいるはずです。

楽天市場内のさまざまなショップのレビューを見ると、やはり「商品はまだ届いていませんが」という前提で書かれたレビューをたびたび目にします。

商品の良さやショップの姿勢を理解してもらう前にレビューを書かれてしまうと、正当な評価が付かない可能性があります。

きちんと体験をしてもらってからレビューを書いてもらうことでリアリティあるコメントが掲載されます。リアリティのあるレビューを見た別のユーザーの購買決定の要因にもなっていきます。

「レビューで応援してほしい!」とのお願いを受け入れてもらえたのは、やはり一番最初のサンクスメールからの、商品への配慮・感動演出など一通りの体験をしてくれてこそ。

お店の姿勢や提供する価値を理解してもらってこそ、見返り無しのお願いレビューを快く書いてくださった方が多くいたのだと感じています。

ひとつの小さな感情を見逃さないコミュニケーション設計をすることがEC成功のカギ

これまで4回に渡って私自身がレッドオーシャンである「米のネット販売に参入し利益を出す!」というミッションを実践した実例をお伝えしてきました。

プレスリリースを活用して、「ちょっと世の中にいいことをやっているママ」であることを伝えることも、「のし紙で心配り」を行うことも、サンクスメールにママの体を気遣う言葉を入れていたことも、すべてはお客様の小さな感情の高まりを起こすため。

感情の高まりが無ければ、購入もしてもらえませんし、ファンにもなってもらえないと思っていたからです。例え小さな感情の変化でも、ちりも積もれば山。ひとつひとつの感情の変化に寄り添ったコミュニケーションが設計できると、実は広告コストをあまりかけなくてもちゃんと売れていくようになるのです。

現在、このショップは田んぼを親戚に委託した関係もありクローズしてしまいましたが、クライアントのECサイト構築やコンサルティングの場面で、過去の実体験がとても役に立っています。

モールだけではなく独自ドメインショップにおいても、こうしたひとつの小さな感情に寄り添うコンテンツを作ることで、検索エンジンにも評価されコンバージョン率も上がっています。

向き合うべきはテクニックではなく、ユーザーの小さな感情。感情に向き合わずしてテクニックは通用しない。

過去の経験から、この想いを信念に日々の実務に当たっています。

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さて、次回からは話題を少し変えまして、ウェブや広告だけでは解決しない問題に立ち向かい成果を上げた地域の農業ブランディング事業の例をお伝えしていきます。

2017年、皆さんはどんな一年にしたいですか?

陰陽五行思想だと、2017年から新たな10年がスタートするのだそうです。

停滞していた物事が流れ出す・・・私はそんなイメージで、2017年は新たなチャレンジの一年と決めています。

どうぞ皆様よい年をお迎えください。

では来年また【ウェブ解析士だより】でお会いしましょう!

安達 里枝
株式会社スマイルファーム代表取締役。金属加工で有名な新潟県の燕三条でウェブ制作からコンサルティングまでをワンストップで提供。創業当時からグロースハックの手法も取り入れながら地域ブランディングや民間企業・自治体等のウェブ活用を総合的にプロデュースしている。兼業農家の嫁・3児の母