新潟の農家に嫁いだ子育てママが挑む! 「出生体重米」をギフト商品化して利益を出せ/#2

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『農業もエンターテイメントだ!』 ~農業のウェブ活用事例シリーズ第2弾

こんにちは。新潟のウェブ解析士マスターの安達里枝(あだちりえ)です。

米どころ新潟の農家に嫁ぎ、「特別栽培米」と呼ばれる減農薬・減化学肥料で栽培しているお米を武器に、米のネット販売に参入。自身の出産をきっかけに赤ちゃんと同じグラム数の「出生体重米」をギフト商品化しました。

しかし、「特別栽培米」のギフト商品というお米の魅力だけでは売れませんでした。

そこで今回は、ターゲットを「出産を経験したママ」に絞り、ギフト商品「出生体重米」の利益を出すために行った次の施策について紹介します。

  • 出産を経験したママに共感を得るコンテンツを作る方法
  • Webへの流入を増やす方法

前回の記事はこちら⇒https://www.waca.associates/jp/column/17552

コンテンツ作り:ターゲットの「出産を経験したママ」に共感してもらう

農家直販である強みを活かし、さらにターゲットと同じ出産を経験したママが企画し販売する商品であることに共感を得るため、以下のコンテンツを磨き、販売ページを強化していきました。

・「特別栽培米」と同じ田んぼでとれたお米=混じりっけのないピュアなお米
⇒生まれたばかりの無垢な赤ちゃんを想起させるお米、かつ田んぼを所有する農家にしかできないノンブレンド米であることを訴求する

・1つひとつ書道家が手書きをした毛筆ラベルパッケージなど、一点物・限定感のある商品
⇒親にとって我が子は特別。特別感を実感し他人と違うものを贈りたい人の欲求を満たす作りにする

・出生体重米を送ることで遠方の親戚・友人にも赤ちゃんを抱っこしてもらう
⇒感動の瞬間を共有できるギフトだという訴求をする

・出産祝いの場合は、日々成長する赤ちゃんの出生時の感動をもう一度味わってもらう
⇒たった1か月でこんなに大きくなったんだ! と両親は実感し感動する

・出生体重米をきっかけとして、贈り先と心温まるコミュニケーションが生まれる
⇒感動を多くの人と共有したいというママの欲求を実現する

・到着時にちょうど出生体重分のグラム数になるよう水分蒸発も計算して梱包する
⇒50gの違いがある商品より、誤差10g以内なら感動も倍増! 米の特性を知りつくし、美味しさを保つための冷蔵管理をしているからできる農家の強みをきちんとアピールする

・安心して注文してもらえる信頼感あるページ作り
⇒顔出し・動画でのメッセージで農家が自信をもって提供している商品だとわかるようにする

・お米は好みを選ばない贈って喜ばれる品
⇒お米は新潟のトップブランドのコシヒカリ。しかも減農薬の特別栽培米だと伝わるようにする

上記のような「贈る側・受け取る側の満足と喜びと感動の共有」を軸とした細かなニーズを拾ってコンテンツを再構成しました。

出産を経験したママたちの「欲求が満たせる商品だ」と納得してもらえることで、出生体重米は売れ始めていきました。

流入を増やす①:潜在ニーズ顧客の獲得と母数獲得のための対策

ターゲットに共感してもらえるコンテンツを作り終えたら、次はサイト流入を増やす必要があります。

しかし「出生体重米」という商品の認知度が低く、言語化できないユーザーも多いため、出生体重米での検索流入は見込ません。そこで、類似ユーザーがいそうな商品として当時人気を集めていた「おむつケーキ」などの出産祝い商品やベビー雑貨なども合わせてラインナップすることで、アプローチするユーザーの母数を獲得していきました。

また、お歳暮やお中元と違い、出産祝い・内祝いはリピート性の低い商品ですから、出生体重米以外の出産祝い商品・ベビー雑貨も取り扱うことで、顧客との接点を持ち続けることができました。

流入を増やす②:信頼を得るためにプレスリリースを活用

出産シーンに絞ったギフト展開をすることで、価格競争に陥らない売り方はできましたが、まったく競合のいない市場ではありません。米専門店などが類似商品を販売していたこともあり、さらに差別化していくことが必要だと考えました。

ショップに訪問したユーザーから、ショップコンセプトや商品情報ページの中だけで真の信頼を獲得するには、ママであるという共感ポイントの他にも第三者の評価が必要になると考え、楽天内のレビューだけではない第三者評価を加えることにしました。

そこで活用したのがプレスリリースです。

プレスリリースを出し、新聞やテレビに記事・ニュースとして取り上げてもらうには、ニュースバリューが必要になります。

農家の嫁が新潟の美味しい米の魅力を伝えるアイデア商品を売り出した

という事実は、ニュースとしてのバリューを認めてもらうことができました。地元紙(新潟日報)の記事として取り上げられ、地元テレビ局の夕方のニュースに特集され、さらにそれが全国(TBS系列)ニュースで取り上げられるというトントン拍子に進んでいきました。

それをきっかけに、全国から多くの注文もいただくことができましたし、「テレビで取り上げられた」という事実を商品ページに追加することで、商品への信頼度を向上することができました。

商品はこのようにして知ってもらうことができましたが、テレビニュースの効果というのはそう長く続くわけではありません。

そこで、さらに共感者と信頼度を増やすための次の施策として、地域の子育てに関連する情報をまとめたメディアサイト「ママネット」を立ち上げ、「社会にちょっと良いことをする農家のママが運営するショップ」というブランディングを行ったのです。

社会貢献度の高い活動はニュースにも取り上げられやすい

今でこそオウンドメディアを運営し、自社の商品サービスに直接的な接点を持たない潜在層にもアプローチする企業が多くありますが、このサイトを立ち上げた2010年当時は詳しい情報は会員登録させ、有料配信するメディアが多いという状況でした。

しかし、テレビや新聞のニュースとしてのバリューを考えると、会員登録させ課金することよりも、自社のブランディングの一環として無料で公開するほうが、ずっとバリューが高いと考えました。地域の医療機関などに協力を仰ぎ、子どもの医療情報や遊び場情報、ママが楽しい育児をするためのサークルやお店の購入情報などを実際に取材し掲載していきました。

メディアを運営するには、記事ネタの取材に手間が掛かりますが、子育てのついでに取材ができる内容に絞り込んだので、取材に割いたリソースはとても少なく、メディアサイトを作ることができました。

そして、出生体重米同様にプレスリリースを出し、新聞に取り上げてもらいました。さらにそれらがきっかけで、新潟県のウェブサイトや地元の情報誌など複数のメディアに取り上げられました。

 

掲載された新潟県のウェブサイト http://www.pref.niigata.lg.jp/danjobyodo/1295915571149.html
掲載された新潟県のウェブサイト http://www.pref.niigata.lg.jp/danjobyodo/1295915571149.html
地域の子育て情報サイト「ママネット」
地域の子育て情報サイト「ママネット」

現在は医療情報やママのメンタルケア・子どものメンタルケア情報のみを情報掲載している。「産後うつ 治療」などのママと子どもの医療関連キーワードで検索上位を獲得し続けている。http://atto-mama.net/

メディア掲載の事実と理念を伝えるページをショップに作成

商品自体がメディアに取り上げられたことを謳うショップは多く存在すると思いますが、活動全般を紹介し、理念を伝えているショップは当時ではほとんど見受けられませんでした。

しかし、メディア掲載履歴ページを作り、「ママの笑顔を増やすことを理念として活動している」ことを伝えたところ、CVRが向上したのです。

商品への信頼感はもちろんのこと、理念や取り組み自体に共感することが購入の決め手になるのだと実感しました。今でこそ出生体重米のような商品は認知度が高くなりましたが、当時はまだ認知度が低く、イノベーター理論※で言うところの「イノベーター」「アーリーアダプター」に訴求していく必要があると感じ、第三者評価も得たなかで理念に共感してもらうことが必要であると考えました。

このようにして、環境から強みを見出し、さらに自社理念に信頼度を高めながら共感してもらうためのコンテンツを作ったことが奏功し、「レッドオーシャンの米通販市場で利益を出す」という目標達成への一歩を踏み出すことができたのです。

まとめ

ターゲットの真に求める価値と自社の提供できる価値の擦り合わせを徹底して行い、コンテンツに反映する

出生体重米についてはアイデアありきの商品だと思われがちなのですが、企業としてのビジネス展望を踏まえての1つの布石であると捉えていました。中小零細企業の場合は、潤沢な広告予算が取れない場面が多々あります。

初期投資を最小限に抑え、身近にあるもの強みとして差別化できるマーケットを探し出し、売れるという実績を作る・・・自らECを運営したこの経験は、現在のクライアントのECサイト構築や販促のための施策立案にとても役立っています。

ユーザーが得たいものは、商品そのものではなく、商品を購入した先の体験です。購入した先の体験によって、ユーザーはどんな喜びを得ることができ、どんな満足を得ることができ、どんな自己実現ができるのかをぜひ考え抜いて、コンテンツに反映して頂きたいと思います。

次回は顧客をファンにするための店舗運営事例をお伝えします。

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※イノベーター理論 出典:マーケティングwiki http://jma2-jp.org/wiki/index.php?%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%90%86%E8%AB%96
イノベーター理論とは、1962年にスタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャース(Everett M. Rogers)によって提唱された、新製品や新サービスの市場浸透に関する理論のこと。
Innovator theory。
顧客の新製品や新サービスの購入態度をもとに、5つのタイプに分類される。
イノベーター(Innovators:革新者)
冒険的で新商品が出ると進んで採用する人々の層。
市場全体の2.5%を構成する。
イノベーター層の購買行動においては、商品の目新しさ、商品の革新性という点が重視されるため、商品のベネフィットはほとんど無視される。
アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、自ら情報収集を行い判断する人々の層。
市場全体の13.5%を構成する。
他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれ、商品の普及の大きな鍵を握るとされている。
新製品や新サービスが提供するベネフィットが必ずしも万人に受け入れられるとは限らないため、市場に広く浸透するかどうかはアーリーアダプターの判断や反応によるところが大きいとされる。

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