『農業もエンターテイメントだ!』 ~農業のウェブ活用事例シリーズ第1弾

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第1弾:米の通販というレッドオーシャン市場に参入し、
自社分析のうえで強みを活かしターゲットを絞って販促成果を上げた事例
〜強みづくり・コンテンツづくり編

はじめまして。新潟のウェブ解析士マスターの安達里枝(あだちりえ)です。中小零細企業から自治体など幅広いジャンルのウェブサイト・ECサイトの構築~集客・運用コンサル・解析等をワンストップで提供する株式会社スマイルファームの代表を務めています。

今回の内容は、ECのコンテンツ企画に悩んでいる方、CVRを向上させたい方、ファンを獲得するために運営方法を見直したい中小EC担当の方に参考になれば幸いです。

これは創業した当時、2009年に弊社で個人事業時代にビジネス課題として取り組んだ、「米のネット販売」の話です。

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「売上だけではなく利益を出す」

新潟といえば「米」。私の嫁ぎ先も田んぼを保有しており、コシヒカリを栽培しています。

弊社が創業にあたり、まず一つ何らかの実績を作ろうと考え、既に競合が多くレッドオーシャンであった米のネット通販に参入して「売上だけではなく利益を出す」ことを目標に取り組みました。

自社分析で「強みで勝負できる市場」を探す

当時、米のネット通販市場はすでに飽和状態で、競合が多く、価格勝負で販売している店舗が多い状況でした。そんな中に普通に参入しても、どんなにお米に自信があろうともなかなか利益を出すことは難しいと考えました。

そこで、まずは「提供できる強みとマーケットニーズの擦り合わせ」を行ったのです。強みといっても創業したばかり。大きな強みと言えるものもまだありませんでしたので、強みとして捉えられそうな自分自身の環境をひとつひとつピックアップしました。

自社の強み

  • 子どもを出産したばかりのママ
  • 農家の嫁(売ることができる農産物がある)
  • 「特別栽培米」という減農薬で栽培したコシヒカリがある
  • 農家に嫁いではじめて「採れたての農産物の本当の美味しさを知った」こと
  • 調理師免許・健康管理士一般指導員などの資格を保有しており、食育・食材に関する知識を有する

 

一般的に考えれば、上記は突出した強みとは程遠いような事実でしかありません。そこで、ターゲットを「子育てママ」に絞った場合、出産という人生にとっての特別なイベントを経験したママの共感を得られるのではないか・・・と考え、「子育てママ」に絞った売り方に決めました。

子育てママにどうお米を売る?どう付加価値を付ける?

ターゲットを「子育てママ」に絞って、「減農薬で栽培された、子どもにも安心な、お米のトップブランドの新潟産コシヒカリです!」とうたっても、やはりレッドオーシャンからは抜け出せません。

そこで考えたのが、「ギフト」として販売する方法です。

ギフトと言っても、単に「ギフトパッケージ」にして売るのではなく、付加価値を付けるために「特別な形」にして売ることを考えました。

それが、赤ちゃんの出生体重と同じグラム数のお米を詰めた『出生体重米』です。

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類似品はすでに米店などで販売しているところがありましたが、農家が直販しているところはなく、差別化ができると考えました。マーケットは、「出産祝い」「出産内祝い」の2つのギフトマーケットがあります。そしてリピート施策は、ギフトを受け取って気に入った人に自宅用を購入させる、以上のようなビジネスモデルで、実際に販売を始めました。

『特別栽培米』であることはターゲットにとって求める価値ではない?

実際に販売をするにあたって、まずは商品ページのコンテンツを作り始めました。当初は、農産物の特性をきちんと伝えるため、「特別栽培米コシヒカリ※」ということをうたえば、子どものことを思うママには売れると考えていました。しかし、残念ながら「特別栽培米である」「安心安全なお米である」という見出しだけでは売れなかったのです。つまり、「特別栽培米コシヒカリ」であることは、ターゲットが求める一番の価値ではなかったのです。

※特別栽培米とは http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_03.pdf 
農林水産省の特別栽培農産物ガイドラインに沿って栽培された米のこと。新潟県では独自に県の認証制度を設けており、地域の慣行栽培に比べて農薬や化学肥料を5割以上減らして作られた農産物に対し認証を行っています。特別栽培米と表示するには、栽培責任者名又は確認責任者名を販売ページ及び農産物パッケージに明記し、減農薬・減化学肥料で栽培していることを購入者に確認してもらえうよう、使用した農薬や化学肥料の種類と回数も合わせて明記したうえで販売します。

そこで、今一度、自分自身の出産祝いや出産内祝いを受け渡すシーンを思い返し、その時感じたことをピックアップしてみることにしました。さらに、友人のママにも同様のシーンについてヒアリングしてみました。

 

出産祝い・内祝いあるある

  • 遠方の親戚の場合、お祝いを頂いた方に内祝いをお返ししても、そもそも我が子の写真も見ていない人とは、連絡のやりとりのみで、特別なコミュニケーションは生まれなかった
  • お祝いにベビー服をもらったが、サイズと季節が合わず、着せることができなかった
  • もらったベビー服の好みが合わなかった
  • 「ベビー服の詰め合わせギフト」は売れ残りを詰めている感じがする
  • 赤ちゃんの名入り食器は割れると申し訳ないと思い、使っていない
  • 赤ちゃんの名入りのお菓子を頂いても、甘い物は食べないので、嬉しくなかった
  • 特別感のあるものを内祝いに贈りたいけど、内祝いギフトとして売っている商品は一般的な品物が多い

など、趣味趣向でギフトへの満足度が違うことを再認識しました。

私自身も、出産は我が子にとっても一生に一度の特別な記念であるはずなのに、お祝いを送ったり、内祝いをお返ししたりすることは、何だか義務的でつまらなかったり、せっかくいただいても好みが合わないと使わずにもったいない、という印象が強く残っていました。

さらに、出産直後の高揚した気分も思い出してみたのです。

「何人産もうとも、出産はその子にとって一生に一度のメモリアルであり、妊娠中の些細なエピソードから生まれて初めて我が子を抱いた時の感動の瞬間を鮮明に覚えている」

出産経験のある友人にもエピソードを尋ねると、私と同様にエピソードを鮮明に覚えていました。

上記のことから、「お祝い品の受け渡し」と「出産という感動的な体験をしたママの気分」には乖離があるので、『感動を共有するコミュニケーションツール』ギフトとして「出生体重米」を提案していこうという結論に至りました。こうして、ママの心理心情に訴え共感してもらえるような商品づくりやコンテンツ制作をしていきました。

今回はここまで。次回は「進化させた『さらなる共感コンテンツ』づくり」と、売上額の増加には欠かせない「Webサイトへの流入数を増加させた方法」についてお伝えします。

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安達 里枝

株式会社スマイルファーム代表取締役。金属加工で有名な新潟県の燕三条でウェブ制作からコンサルティングまでをワンストップで提供。創業当時からグロースハックの手法も取り入れながら地域ブランディングや民間企業・自治体等のウェブ活用を総合的にプロデュースしている。兼業農家の嫁・3児の母